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淡路

淡路の魅力

国生みの神話、日本遺産に

淡路島は、洲本市、南あわじ市、淡路市の3市で構成され、北は明石海峡大橋で神戸市と、南は大鳴門橋で徳島県とつながっています。

日本最古の歴史書である「古事記」の冒頭、「国生み神話」の中では 、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)が天沼矛(あめのぬぼこ)で下界をかき回し、最初に生まれた島として記されています。大陸や朝鮮半島から新しい文化や技術が伝わっていく道であった瀬戸内海の東端に位置し、大和朝廷へとつなぐ中継点としての役割を果たしたであろう歴史的役割がうかがい知れます。

2015年4月には、そのことを裏付けるかのように、南あわじ市の松帆地区で弥生時代の青銅器・銅鐸が見つかりました。発見された銅鐸の保存状態は極めて良い状態で、銅鐸を鳴らす舌(ぜつ)、そして吊り下げる紐が銅鐸とともに発見されたことは全国で初めてとなることから、歴史的な発見として話題を呼びました。

また、2016年4月には、この松帆銅鐸を含めたストーリー『古事記』の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」~古代国家を支えた海人(あま)の営み~”が地域の歴史的魅力や特色を通じて文化・伝統を語るものとして、文化庁によって「日本遺産」に認定され、2018年5月には、洲本市五色町出身の豪商・高田屋嘉兵衛に関係が深い北前船の寄港地となった洲本市等の文化財群が“荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間〜北前船寄港地・船主集落〜”に追加認定されました。

豊かな食文化、淡路島ブランドで発信

万葉集にも詠まれる海人がつくった塩は、朝廷の儀式に使われるほど重宝された、と平安時代の法令集「延喜式」には記録されています。この「延喜式」によると、淡路島は海人が生産する多くの海の幸を皇室・朝廷に献上し、「御食国(みけつくに)」としての役割を果たしたと推定されています。

そんな食材の宝庫・淡路島は、年間を通して温暖な気候に恵まれ、日照時間の長い農業の島としても知られています。淡路島たまねぎやレタス、キャベツを中心とする野菜をはじめ、ビワやミカンなどの果物、米、カーネーションなど、多彩な農産物を生産しています。特に淡路島たまねぎは、やわらかくてみずみずしいうえ、雑味がなく糖度が高いことで知られており、全国第3位の生産量を誇る兵庫県のたまねぎの95%以上が淡路島産となっています。

また、一般の養殖フグよりもさらに1年長く育てられた「淡路島3年とらふぐ」は、2年目の2倍近くの大きさに成長し、天然に近い良質なフグとして知られており、淡路島で生まれ、品種評価基準により選定された「淡路ビーフ」は高級品質な和牛肉として世界からも高い評価を得るなど、海産物、畜産物にも恵まれています。

現在、こうした淡路島ブランドを組み合わせた「淡路島バーガー」や、「淡路島牛丼」「生しらす丼」「生サワラ丼」などの島グルメ、「オニオンスープ」「オニオンカレー」などの様々なたまねぎ加工品が人気を呼んでいます。

ほかにも、淡路島には「線香」や「淡路瓦」といった伝統的な地場産業も根付いています。淡路市一宮地区を中心に、約170年の伝統技術を継承する淡路島の線香づくりは、日本一の生産高とともにその品質の高さを誇っており、日本国内最大の産地として知られています。美しいかたちと繊細な香りを表現する技術は、新しいルームフレグランスとしてフランスで注目を集め、「あわじ島の香司(こうし)」ブランドは、国内はもとより、欧米でも高い評価を得ています。

淡路瓦は、兵庫県内で生産されている粘土瓦の約99%を占めており、南あわじ市の津井、松帆、阿万地区を中心に生産されています。現在は、質の良い粘土と独自の製法により、優雅な高級品として根強い人気を得ているいぶし瓦が主力で、生産の3分2を占めています。その独特の色合いは、和を演出する役割を果たし、屋根材だけでなく、モニュメントやオブジェなど、多様な用途に展開されています。

あわじ環境未来島構想で、新たなまちづくりのモデルを提示

淡路島では、豊かな自然の恵みと地域コミュニティの結びつきを生かし、日本が抱える人口減少や高齢化の課題解決の先導モデルとなることを目指して「エネルギーの持続」「農と食の持続」「暮らしの持続」をテーマにした「あわじ環境未来島構想」を県・市・住民・地域団体・企業などが協働して推進しています。

2011年には「地域活性化総合特区」に指定され、2050年までの目標として、エネルギー(電力)自給率100%、生産額ベースの食料自給率300%以上などを目標数値として掲げており、再生可能エネルギーの活用や電気自動車の普及、農業人材の育成、地域資源を生かした集落の活性化などで、生活の質を重視した新たなまちづくりのモデルを築いていこうとしています。

1998年4月に明石海峡大橋が開通して以降、淡路島はより身近な島になりました。季節ごとに花が楽しめる「あわじ花さじき」、世界最大級の「鳴門の渦潮」、数多くの温泉など観光資源にも恵まれる淡路島。現在は、明石海峡大橋(垂水IC〜淡路IC間)の通行料金が910円に大幅値下げされ、観光客数の増加にもつながっています。

『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫県の企業 淡路版』(神戸新聞社、2021年)

播磨

東播磨・北播磨の魅力

加古川がもたらした恵み

東播磨・北播磨は、県の臨海部から内陸部にかけてのほぼ中央に位置し、東播磨地域の明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町(3市2町)、北播磨地域の西脇市、三木市、小野市、加西市、加東市、多可町(5市1町)の計8市3町で構成されています。日本列島における地理上の中心部でもあり、日本の標準時を定める子午線(東経135度線)が南北を貫き、北緯35度線と交差する「日本のヘソ」とも呼ばれる日本の中心地(西脇市)があります。

兵庫県に河口を持つ河川の中では最長、最大の流域面積を誇る加古川はさまざまな恵みを地域にもたらしてきました。中世にはいくつかの舟運路が整えられ、闘竜灘(加東市)を中継地点とし上流から河口までの高瀬舟を用いた物流幹線の役割を担っていました。2003(平成15)年には「県立加古川河川敷マラソンコース(加古川みなもロード)」が整備され、毎年1 2 月には加古川マラソンが開かれています。

ため池を生かしたまちづくり

弥生時代頃から稲作の発達とともに造られてきたため池は現在全国に16.7万カ所あるといわれています。兵庫県の数は群を抜いており、中でも万葉集でいなみ野と詠まれた東播磨地域にも数多く整備されました。

東播磨地域は日本有数のため池密度を誇り、県内最古の天満大池(675年築造)や甲子園球場の約12倍という県内最大の加古大池(満水面積49ha)、多様な生物が生息する池、伝説が残されている池など個性豊かな「ため池」が数多くあります。また、ため池とため池は水路網でつながれて一帯の水田へ水を供給し続けるとともに、文化を育み、独特の風景をつくってきました。これらのため池群を核とした地域づくりを目指して2007(平成1 9 )年に「いなみ野ため池ミュージアム運営協議会」が設立されました。ため池の保全活動や観察活動を農業者だけでなく、地域住民の力を結集した活動が高く評価され、2013( 平成2 5 )年には日本水大賞農林水産大臣賞を受賞しました。

臨海地域を中心とする産業集積

明治維新以降、東播磨の臨海地域には明石市、加古川市、高砂市で紡績、毛織物工場の設置が相次ぎ、昭和に入ってからは鉄鋼、航空機部品、発電機などの重工業メーカーが進出するようになりました。これら大手企業の生産活動を支える金属加工業をはじめ、高度な技術力をもつ中小企業群も数多く集積し、「播磨臨海工業地域」を形成しています。

工業統計調査(2019年)によると、東播磨地域の製造品出荷額等は、3兆6,183億円で県内の21.9%の割合を占めており、地域別で第1位となっています。

地域に根づく多彩な地場産業

北播磨地域には地域ごとに地場産業が集積し、伝統を生かしながら新たな視点を取り入れて発展を遂げています。

播州織は先に染めた糸で織り柄をつくる「先染織物」です。縦糸と横糸が折り重なることで自然な風合い、豊かな色彩の生地に仕上がります。先染織物の6割以上のシェアを占めており、シャツなどの製品に加工されています。近年若手の経営者やデザイナーが播州織に新たな活力を吹き込んでいます。

三木金物のうち鋸(のこぎり)、鑿(のみ)、鉋(かんな)、鏝(こて)、小刀(こがたな)の5品目が国の伝統的工芸品に指定され、中でも手引のこぎりの全国シェアは約6.5割となっています。さらに、これに磨きをかけた新規性とデザイン性に優れた新製品の開発や新市場の開拓を行っています。近年は、欧米を中心に包丁や園芸用品、農機具が評価され、輸出が堅調に伸びています。このほか、小野のそろばんも国の伝統的工芸品に指定され、派生した木工芸品も地場産業として定着しています。

また、釣針は、全国生産の約8割を占めています。針先を円錐形に削る技術は播州針ならでは。国内最古の釣針メーカーである株式会社土肥富は月産1億本の釣針を製造し、世界130カ国に輸出しています。

後継者育成に挑む産地の取り組み

近年、北播磨の地場産業では、若手人材を育成する取り組みに力を入れています。ものづくりの魅力にひかれた若者たちが当地に移住する事例も増えており、人口減を打開する取り組みとしても注目を集めています。

〈播州織〉
播州織の産地、西脇市には2017年春、若手デザイナーや織り職人のためのコワーキングスペース「CコンセントONCENT」がオープンしました。ミシンやデザイン用のコンピュータがそろい、先染めの糸を使った製品の開発、試作が可能。新たな製品や流行を発信する拠点としての役割も期待されています。利用者の一人、株式会社播ばんの鬼塚創さんは2016年4月、東京都内でファッション専門学校、大学院大学を卒業後、西脇市に移住してきました。現在は播州織の生地のデザイナーをしています。「生産地の背景や職人の持つ技術を知った上でデザインをしたいと考え、西脇にやってきた。来てみて播州織が世界に発信できる可能性をあらためて感じています」と話します。

〈播州刃物〉
また、播州刃物の産地である小野市に、職人の後継者を育成するための工房「MUJUN WORKSHOP」が2018年7月に開設されました。運営に当たるのは地元のデザイン会社、シーラカンス食堂。現在、刃物職人を志す姫路市出身の20代男性、加古川市出身40代男性、東京都出身20代女性の3名が熟練職人の技を継承しています。代表の小林新也さんは「伝統を継承していくために、従来の方法にとらわれずにイノヴェイティブな考え方や仕組みのデザインを今の時代に合った形で行なっている」と語り、若者が集まってきやすい環境をさらに整えていこうとしています。

『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫県の企業 東播磨・北播磨版』(神戸新聞社、2021年)

中播磨・西播磨の魅力

姫路城が観光の起爆剤に

中播磨・西播磨は兵庫県の西部に位置し、中播磨地域の姫路市、神河町、市川町、福崎町(1 市3町)、西播磨地域の相生市、たつの市、赤穂市、宍粟市、太子町、上郡町、佐用町(4市3町)を合わせた計5市6町で構成されています。

世界文化遺産の姫路城が平成の大修理を終え2015年3月にグランドオープンして以来多くの観光客を集めています。2019年度の入場者数は154万8千人で、そのうち外国人観光客は39万5千人と25.5%を占めています。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が発表した「旅好きが選ぶ!日本の城ランキング2019」でも姫路城が4年連続の1位に選ばれました。

生野銀山(現朝来市)と飾磨津(現姫路港)間約49㎞を結んでいた「銀の馬車道」は日本で初めて「舗装」という概念が取り入れられ、当時最先端の技術を用いて整備された道路です。道路幅は馬車などの車両がすれ違える3間3尺(6m)以上が確保された日本初の高速産業道路といわれています。完成後は機械化を進める生野銀山で使う大量の資材や銀などが運ばれ、沿線は大いににぎわいました。現在は県道や国道に姿を変えていますが、「馬車道修築碑」「橋」「道標」などに繁栄の名残をとどめています。2017年4月には、「銀の馬車道」からさらに神子畑鉱山、明延鉱山、中瀬鉱山と北に続く「鉱石の道」を結ぶストーリー「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」が文化庁により日本遺産に認定されました。今後はますます、国内外から多くの観光客の来訪が期待されています。

厚みのある地場産業の集積

豊かな歴史を持つ当エリアには、古くから様々な産業が根付いてきました。全国シェア約7割を誇る成牛革もその一つ。弥生時代後期に大陸からの帰化人が技術を伝え、その後、江戸中期に大いに発展しました。姫路市、たつの市、太子町の業者によって製造されたなめし革は、高級皮革製品に使われています。

手延素麺は約600年の伝統を誇り、明治27年には兵庫県手延素麵協同組合によって統一規格が設けられ、格付け等級として「揖保乃糸」という組合ブランドが誕生しました。戦後に入っても組合が厳しい品質管理を重視したことや、揖保乃糸資料館「そうめんの里」を通じた情報発信により消費者にブランド価値が高く評価されており、近年は米国をはじめ輸出も増えています。このほかにも千葉県、香川県とともに全国三大産地の一つに数えられている龍野の醤油、国内生産の約8割のシェアを占める姫路のマッチ、全国生産高の約6割を誇る姫路市の鎖製造業など多様な集積があります。

日本初のゴルフクラブ生産地も当エリアでした。日本製のクラブの製造が始まったのは昭和初期のことで、廣野ゴルフ倶楽部よりアイアンクラブのヘッドの研究依頼が三木市内の金物工業試験場に舞い込んだことをきっかけに当時の担当者が研究を始め、その後姫路で製造を始めたといわれています。現在も市川町を中心に業者が集積しています。

西播磨管内では130以上ある山城(山などを利用して築かれた城)をはじめとする史跡や歴史遺産を活用し、元気高齢者やインバウンド向けの山城歴史絵巻ツアーやモデルコースの開発、現存しない山城のAR(拡張現実)アプリ「西播磨の山城へGO」の制作、山城の眺望や登山道の整備、観光ガイドの養成などを展開する「山城復活プロジェクト」に取り組み、観光客の誘致を図っています。

北部は県下有数の森林地帯であり、宍粟市は県内一の木材生産量を誇ります。県産木材を使って建てられた施設や住宅も増えつつあります。また、中国山地を源とする揖保川、千種川が播磨灘に注ぎ、森林がもたらすミネラルを餌にして育った豊富なプランクトンが播磨灘を豊かな漁場にしています。播磨灘を代表する海産物の一つが牡蠣。短期間でぷりぷりに育つ牡蠣は「播磨のカキ」として全国に流通していきます。南部の赤穂市では、「日本第一」の塩を産したまち播州赤穂の、塩づくりの歴史と文化が、2019年5月に、日本遺産に認定されました。伝統的な「流下式塩田(枝条架)」を復元した「塩の国」では、かん水を使った昔ながらの塩づくり体験ができます。

世界最先端の研究施設も

臨海部は播磨臨海工業地域として早くから鉄鋼、造船、電気機械をはじめ化学工業、一般機械器具等の製造・加工、さらには皮革製造や食品製造等の多くの地場関連産業が発展し、集まっています。そしてこれらの大企業を支える中小企業群から精密金属加工、鋳造業をはじめ数々のオンリーワン企業が育っています。

また西播磨には世界に誇る研究施設があります。SPring-8は、播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設です。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のことです。この放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われています。SPring-8を含む播磨科学公園都市には県立粒子線医療センター(たつの市)が陽子線と重粒子線の両方でがん治療が行える世界初の施設として開設され、国内屈指の治療実績を誇っています。また、兵庫県立大学理学部(上郡町)、兵庫県立大学附属中学校・高等学校(同)などの文教施設のほか工場用地もそろっており、知と研究、ものづくりが一体となったまちづくりが進められています。

『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫の企業 中播磨・西播磨版』(神戸新聞社、2021年)

神戸・阪神

神戸の魅力

神戸港がもたらした豊かな生活文化

世界との玄関口として日本の近代化を先導してきた国際都市・神戸は、異国情緒あふれる街並みだけでなく、六甲山系や瀬戸内海など豊かな自然環境にも恵まれています。

六甲山は、市街地の背後に位置し、アクセスの良い「都市山」の代表です。六甲山ビジターセンターをはじめ、気軽なハイキングから、登山、自然や野鳥観察、夜景の名所など、様々な観光・レジャーが楽しめます。さらには、「仕事場」としての活用も進められています。また、古くから天然の良港として知られた兵庫の港は、平清盛の時代には「大輪田泊」、江戸時代には「兵庫津」と呼ばれ、一大貿易拠点としてにぎわいました。明治時代には、現在の神戸港が開港され、その存在は文化の面でも大きな影響をもたらしました。映画・ゴルフ・近代洋服などがもたらされたほか、国内で初めてプロのジャズバンドによる演奏がおこなわれました。そして、ジャズは今もその伝統が引き継がれ、毎年恒例のイベントが開催されるなど「ジャズの街神戸」が定着しています。また、日本三大名泉とされる有馬温泉や灘五郷などの歴史ある名所も多数存在し多様な魅力が詰まっています。

神戸の産業

神戸港の発展とともに港にまつわる様々な産業が盛んになっていきました。海運や貿易業のほか、鉄鋼・造船・機械産業などの重化学工業も、港をいかした重量物の運搬を考慮して、当地に集積していきました。他にも、港から海外への輸出品として盛んだった真珠加工、合成樹脂を使用したケミカルシューズ製造、個性的でハイセンスなアパレル産業など、ファッション関連産業が多いのが特徴です。また、神戸は高い技術・ブランド力を持つ洋菓子店がひしめく「スイーツのまち」です。さらに、かつて日本で働く外国人が住んでいた旧居留地に残る洋館や異人館は神戸ならではのお洒落な街並みを演出し、観光産業の発展にも役立っています。最近では、神戸ビーフの魅力や歴史の情報発信などもおこなっています。

デザイン都市・神戸

2008年に神戸市はユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市に認定されました。これをきっかけに進められているのが「デザイン都市・神戸」の取り組みです。テーマは「住み続けたくなるまち、訪れたくなるまち、そして、持続的に発展するまちをめざして、すべての市民が、神戸の持つ強みを生かし、デザインによって新たな魅力を" 協働と参画" で創造する都市」。神戸がこれまで多様な文化を受け入れ、融合し、新しいものを生み出してきたプロセスを再確認し、まちのデザイン、くらしのデザイン、ものづくりのデザインに多様な市民がかかわることを通じて、まちのにぎわい、人のつながりが生み出されることが期待されています。

世界に誇る神戸の最先端産業

1995年の阪神・淡路大震災以後、神戸の経済復興のため取り組まれてきたことのひとつが「神戸医療産業都市構想」です。震災をきっかけに新たな成長産業として医療関連産業に着目し、医療機関、研究機関、企業の集積を図ることによって「市民福祉の向上」、「神戸経済の活性化」、「国際社会への貢献」を目的とするプロジェクトです。現在、ポートアイランド周辺には「先端医療研究センター」「理化学研究所 生命機能科学研究センター」「神戸臨床研究情報センター」などの研究施設や、中央市民病院を中心とした高度専門病院の集積も進んでおり、日本最大の医療都市に成長しています。例えば、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた世界初の網膜シート移植手術の実施や、2021年に供用開始予定のスーパーコンピューター『富岳』の運用など、革新的な研究成果・医療技術を生み出す体制が整いつつあります。

さらに、かつてのグローバルな神戸を取り戻すべく「国際港湾都市」づくりを推進しています。震災後、港湾の甚大な被害により神戸港離れが起こりましたが、現在は大阪港と共に国際競争力を回復させる試みが進められています。また、2006年に開港しさらなる活性化を目指す神戸空港も一体となって、陸海空のアクセスの良さを活かしたまちのPRをおこなっています。港町ならではの景観や立地を活用したホテルが建設されるなど、今後ますます神戸の可能性が広がっていくことでしょう。

『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫の企業 神戸版』(神戸新聞社、2021年)写真(©一般財団法人神戸観光局)

阪神の魅力

工業都市、住宅都市、様々な顔を持つ南部

阪神地域は、兵庫県の南東部に位置し、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町の7市1町で構成されています。

沿岸部は阪急、JR、阪神の各鉄道が並行して走っているほか、阪神高速3号神戸線、5号湾岸線、国道2号、4 3 号などの主要幹線道路も東西を結んでいるため神戸、大阪への交通の便が非常に良く、人口密集地域となっています。

尼崎市は阪神工業地帯の一角をなす工業都市ですが、かつての高度成長期には大気汚染や騒音などの公害が問題となりました。その後、市は主要工場と公害防止協定を結んだり、環境を守る条例を定めるなど、公害防止に向けた取り組みを行ってきました。現在は、1 0 0 年単位の長期的な視野で環境保全・再生のまちづくりを行う「尼崎2 1 世紀の森構想」を進めています。一方、かつての工場群の中には時代を象徴する建物も数多く存在し、これらを産業遺産として認定し、まちづくりに生かす取り組みも進んでいます。

西宮市は、関西学院大学や武庫川女子大学をはじめとする大学が多く集まり、文教都市としての色彩が強く、住みたいまちのランキングでも常に上位に挙がっています。西宮北口駅や甲子園駅周辺に大規模商業施設が立地し、また阪神タイガースの本拠地である甲子園球場など大型集客施設もあり市外から人を呼ぶ吸引力にもなっています。日本一の清酒生産地である神戸・阪神間の「灘五郷」のうち西宮市には今津郷、西宮郷の二つがあり、市内の学生のアイデアを生かした商品開発などの取り組みも積極的に行われています。

芦屋市は、大正から昭和初期にかけて山の手地区で住宅開発が進み、山と海を見渡せる眺望も手伝って全国的にも高級住宅地としてその名をはせています。市では屋外広告物条例を施行するなど、美しい街並みを維持する取り組みに力を入れています。芦屋市にゆかりの深い文豪・谷崎潤一郎の記念館や俳人・高浜虚子の記念文学館をはじめ文化施設も点在する一方、六甲山の名所としても知られる岩場、芦屋ロックガーデンは山の愛好家の人気スポットになっています。

住宅地の周囲に豊かな自然が残された中北部

阪神地域の中部から北部にかけてのエリアは産業と文化、自然が混在したエリアで、交通の便も良いことから大阪のベッドタウンとして発展を遂げてきました。

伊丹市は、大阪国際空港を有し、国内航空路線を結ぶ関西のビジネス、観光の拠点として存在感を発揮。関西国際空港、神戸空港との一体運用でさらなる発展が見込まれています。飛行機の離発着が間近で見られる伊丹スカイパークのほか、野鳥のオアシスとして知られる昆陽池公園も市内外から多くの人を集めています。濁りのない、いわゆる清酒の醸造法が初めて確立された「清酒発祥の地」として、酒蔵巡りを観光コース化してPRを図っています。

宝塚市は、阪急東宝グループ(現阪急阪神東宝グループ)の創始者である小林一三が創設した宝塚歌劇団の本拠地である宝塚大劇場があり、「タカラヅカ」の名は全国に知られています。また、鉄腕アトムやブラック・ジャックで知られる漫画家・手塚治虫が青少年期を過ごしたまちとしても有名で、市内には手塚治虫記念館もあります。山手地区は高級住宅街が整備される一方、北部は野菜や花の生産地としても知られ、地名を冠したブランド化による商品開発も進められています。

大阪のベッドタウンとして住宅開発が進められてきた川西市は豊かな歴史に彩られたまちでもあります。源氏の中で最も栄えた清和源氏の発祥とされ、毎年春には「源氏まつり」が開かれています。また、開発が進む一方で自然も残され、豊臣秀吉や千利休が好んだ茶道に使われる「菊炭」を今なお生産する北部の黒川地区は「日本一の里山」としても知られています。日本の原風景が広がる一帯は「北摂里山博物館」として一体的に保全、環境学習が行われています。

三田市は、六甲山系の北側に位置し、かつてはのどかな農村風景が広がっていましたが、1980年代からニュータウン開発が活発に行われました。現在は農村と都市を併せ持つまちとして知られています。三田栗や三田牛の産地として豊かな食資源が育まれ、これを生かしたレストランや洋菓子店が集まる一方、高速道路へのアクセスの良さから北摂三田テクノパークには大手企業の工場や物流センターが集積し続けています。

また、猪名川町は阪神地域の最高峰・大野山や猪名川の源流などの豊かな自然が感じられます。大阪へのアクセスが便利なエリアであるため昭和40年代から活発にニュータウン開発が進み、身近に森林や田園風景が息づく環境で暮らせる住宅都市として発展しています。

『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫の企業 阪神版』(神戸新聞社、2021年)

但馬

但馬の魅力

「山陰海岸ジオパーク」はじめ豊かな観光資源

兵庫県北部に位置する但馬は、豊岡市、養父市、朝来市、香美町、新温泉町の3市2町で構成され、県全体の面積の約4分の1を占めています。豊かな自然に囲まれた但馬地域は観光資源にも恵まれ、スキー場、海水浴場のほか日本遺産の認定を受け、「鉱石の道」「北前船」「麒麟獅子」が注目を集めています。

「山陰海岸ジオパーク」は2 0 1 0 年1 0 月、地質や地形に表れる地球の歴史を学び、楽しむ地域を振興する世界ジオパークネットワークへの加盟( 国内4 カ所目)が認定されました。山陰海岸ジオパークは京丹後市の東端から鳥取市の西端までの東西約1 2 0 ㎞ の範囲に広がるエリアで、但馬地域では豊岡市・香美町・新温泉町が含まれます。

日本の近代化をけん引してきた、生野鉱山、神子畑鉱山、明延鉱山、中瀬鉱山をつなぐ「鉱石の道」と、姫路港と生野鉱山をつないだ「銀の馬車道」が、2017年に、日本海・瀬戸内沿岸を巡る北前船のかつての寄港地のひとつであった「諸寄」が2018年に、さらには香美・新温泉町「麒麟獅子」が2019年に日本遺産に認定され、地域の新たな魅力づくりに向けた取り組みが行われています。

1300年の歴史を持ち、7つの外湯につながる大谿川沿いに風情のある温泉街を形成する「城崎温泉」、98度の高温かつ豊富な湯量を生かし、調理や洗濯など、古くから温泉を生活に利用してきた歴史を持つ「湯村温泉」、江戸時代には城下町として栄え、今なお当時の街並みが残されている出石周辺など自然と歴史が感じられる観光資源も多くあります。

さらに、神戸ビーフの素牛である但馬牛、ズワイガニをはじめ食材豊かな土地でもあります。世界の舌を魅了する但馬牛の優れた血統を確立・堅持してきた飼養システムの重要性を後世に伝えるための取り組みも進んでいます。

子どものころから舞台芸術に触れる機会を

豊かな食資源を生かした食品産業、温泉などの観光業が盛んな但馬には、多くの地場産業も根付いています。その一つが「豊岡鞄」です。大手かばんメーカーの下請けとして発展を遂げてきましたが、2006年に地域団体商標「豊岡鞄」を取得し近年は独自ブランドを発信する企業も増えています。2014年には産地のオリジナルバッグを扱うショップや鞄職人の育成学校(アルチザンスクール)を併設した「Toyooka KABAN Artisan Avenue」が開設しました。2 0 1 8年には東京に地域ブランド「豊岡鞄」を販売する「K I T T E丸の内店」がオープンし、豊岡鞄ブランドのさらなる向上が期待されています。

また、2014年、演劇やダンスなどの舞台芸術に特化した滞在型の創造活動の場として城崎国際アートセンターがオープンしました。毎年国内外の選ばれたアーティストが滞在し、その創作過程を地域の方々に公開したり、市内小・中学校でのワークショップを実施するなどして、市民が一流のアーティストと交流する機会を積極的に設けています。

コウノトリの野生復帰を環境教育に生かす

コウノトリ野生復帰の取り組みが全国的にも注目を集めています。かつては日本各地に生息していたコウノトリ。1971年には日本でその姿が見られなくなってしまいました。最後の生息地であった豊岡でコウノトリ野生復帰の取り組みが始まり、人工飼育開始から25年目、ついにコウノトリのヒナが誕生。2005年に野生復帰に向けた試験放鳥がスタートし、現在200羽を超えるコウノトリが自然界で羽を広げるまでになっています。

豊岡市では、安全・安心な農作物を生産するため「コウノトリ育む農法」に取り組むほか、生きもの調査や、湿地・ビオトープの設置を通じた環境教育に力を入れています。また「コウノトリ育む農法」でつくられた農作物をブランド化し観光振興にもつなげ、これまでは相反すると考えられていた環境と経済を共に発展させる「豊岡市環境経済戦略」を推進しています。現在、「コウノトリ育む農法」は、但馬全域に広がっています。

特区制度を活用した中山間地域の活性化

養父市では2014年5月、中山間地域農業における改革拠点として国家戦略特区の指定を受けました。これを受け、高齢化の進展や耕作放棄地の増大などの課題を抱える中山間地域において、民間事業者と連携した取り組みによる耕作放棄地の再生、加工により農産物の価値を高めることで収益を生み出せる農業の実践など、全国の中山間地域農業のモデルを目指した取り組みが進められています。

農業以外にも、オンライン医療や自家用車を活用した有償運送など、地域経済の活性化や地域創生に取り組んでいます。

命をつなぎとめるドクターヘリ

但馬地域では医師不足が心配されているところですが、公立豊岡病院の救命救急センターが中心となってドクターヘリを活用して救命率の向上につなげ、全国から注目を集めています。

交通ネットワークの整備が進む

東西、南北軸の高規格幹線道路の整備が進んでいます。京阪神都市圏とを結ぶ道路として整備中の北近畿豊岡自動車道路は、昨年、但馬空港ICまで延伸されました。鳥取から宮津までを結ぶ山陰近畿自動車道は、2017年に新温泉浜坂IC―余部IC間(浜坂道路)が開通しました。また、「コウノトリ但馬空港」は、羽田空港まで伊丹空港乗り継ぎで最短で約2時間半で行くことができ、2018年5月には新型機が導入されました。今後、交通ネットワークの整備によりアクセスが良くなることで、国内外から但馬にますます多くの人を呼び込むことになりそうです。

『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫県の企業 但馬版』(神戸新聞社、2021年)

丹波

丹波の魅力

美しく懐かしい山里が育む丹波ブランド

丹波は、兵庫県の中央東部に位置する丹波篠山市と丹波市からなり、北東では京都府と接しています。山々に囲まれた盆地にひろがる川筋、農地、集落などの要素が絶妙なバランスを保って調和している山里風景が特徴で、美しく懐かしいその姿は日本の原風景と言われています。

こうした盆地状の地形により、年間を通じて昼夜間の寒暖差が大きく、秋から冬にかけて発生する「丹波霧」は豊かな森を幻想的に覆います。丹波地域には、このような気候風土と豊かな土壌に育まれた特産物が数多くあり、丹波ブランドとして全国に知れ渡っています。その代表格が「丹波黒大豆」。外観は球形で大粒、口当たりは滑らかで、もちもちと粘り気があり、甘みも強いのが特徴です。このほかにも、江戸時代から特産として栽培され肉質が緻密で非常に粘り気が強い「丹波山の芋」、強い香りとしっかりとした食感を持つ「丹波のマツタケ」、大粒で煮崩れせず色合いと風味に優れ高級和菓子などに使われている「丹波大納言小豆」、粒が非常に大きく上品な甘みを持つ「丹波栗」、と枚挙にいとまがありません。

近年は、農業の担い手が高齢化しつつありますが、兵庫県では、丹波の特産物の生産拡大に向けたスマート農業の推進や6次産業化、農商工連携等による丹波ブランドの強化、新規就農者や集落営農組織等、多様な担い手の確保に取り組んでいます。丹波ブランドは、新規就農者にとっても大きな魅力になっています。

地域に息づく遺産と新たな魅力

篠山城の城下町として栄えた伝統文化や時代ごとの風土や生活を唄に読み込んだデカンショ節の世界が現代に息づいていることが評価され、「丹波篠山 デカンショ節 民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶」は文化庁の日本遺産に認定されました。

また、発祥が平安時代末期までさかのぼり、日本六古窯の一つとして知られる丹波焼は、登り窯と蹴りロクロ(左回転ロクロ)とともに伝統技術を今に受け継ぎ、現在も約6 0軒の窯元が丹波焼を生産しています。デカンショ節に続き、六古窯の他の産地とともに「きっと恋する六古窯 日本生まれ日本育ちのやきもの産地」として日本遺産に認定されました。

また近年、「恐竜が生きた森」という一面が、丹波地域の新たな魅力として加わりました。2006年8月、約1億1千万年前の地層篠山層群から、国内最大級の植物食恐竜「丹波竜」が発見されました。その後も他の恐竜やほ乳類化石などの発見が続き、2020年5月には世界最小の恐竜卵と考えられる化石が発見・ギネス世界記録に認定されました。丹波地域の歴史と文化に、「恐竜が生きた大地で暮らす」という新たな個性が加わり、地域の魅力が一段と高まっています。

地域で生まれる多くの“すぐれもの”

自然や農産物、地域資源の他にも、優れた技術で産業界や地域の活性化に貢献している製品や、地域の特徴を生かした独創的で優れた品質の食料品を製造している企業が数多くあります。地域の将来を担う若者や内外の多くの方々に、こうした製商品等を知ってもらうため、兵庫県では「丹波すぐれもの大賞」として顕彰しています。受賞製商品には、その後、全県・全国レベルで表彰されたり、テレビやラジオなどのメディアに取り上げられるなど、さらに発展を遂げているものもあります。

都会に近いオシャレな田舎~地域の魅力が移住者を呼び込む

豊かな自然と昔ながらの農村風景や城下町の町並みが残された丹波地域は、神戸・阪神間から車・鉄道で約1時間半の圏域にあり、都会に住む人をひきつけています。休日に遊びに行く場所というだけではなく、丹波の魅力にひかれた若い人たちが移り住み、古民家を改装したカフェをオープンしたり、空き家に居住して農業を始めたりするなど、「丹波らしさ」に価値を求めて移住する人も増えています。

これからのポストコロナ時代においては、阪神間から近く、人口密集が少ない豊かな自然環境に恵まれた丹波地域は、住環境・就業環境としての魅力がさらに高まっていくものと期待されています。

『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫県の企業 丹波版』(神戸新聞社、2021年)

恵まれた住環境

  • 持ち家住宅比率

    東京45.0v 兵庫64.8%

    出典:総務省 平成30年住宅・土地統計調査

  • 1住宅当たり延べ面積

    東京65.18㎡ 兵庫92.68㎡

    出典:総務省 平成30年住宅・土地統計調査

  • 1か月当たり家賃・間代

    東京81,001円 兵庫55,337円

    出典:総務省 平成30年住宅・土地統計調査

兵庫県の特徴

  • 総人口

    540万人(全国7位・関西2位)

    出典:総務省 統計局「統計でみる都道府県のすがた2024」

  • 流入人口比率*

    2.43%(全国14位・関西4位)

    *対総人口

    出典:総務省 統計局「統計でみる都道府県のすがた2024」

  • 総面積

    8,401k㎡(全国12位・関西1位)

    出典:総務省 統計局「統計でみる都道府県のすがた2024」

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